貧乏人でも投資がしたい

パーソナルファイナンスとインデックス投資についての話題がメインです。意見は結構コロコロ変わります。

ロボアドバイザーを勧められない根本的な理由

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ロボアドバイザーなるものが出てきてからしばらく経ちます。米国では10年ほど前に登場して以来、急速に運用額を増やしてきているようですね。

さて、日本ではどうかと言いますとどこが最初だったか忘れましたが、自動運用に関してはたぶんエイト証券THEOWealthnaviあたりで、ポートフォリオの提案自体はみずほ銀行などが先行してリリースしていたような記憶があります。

各社多少の違いはあるものの、肝心のポートフォリオの提案についてはだいたい似たようなものでして、「年齢」「家族構成」「運用の目的」「収入」などからリスク許容度を、また運用成績のグラフを選ばせたり、下落時の対応を尋ねることでリスク選好度・回避度を推し量り、総合的に判断して適当と思われるリスクレベルの配分を提案するということになっています。

これだけ読むと自分にぴったりの配分を決めてくれて良いサービスのように思いますが、ロボアドには致命的な問題がありこれが解決できていません。

ということで残念ながら、現時点では積極的には勧めづらいサービスとなっています。

コストが高すぎる点も致命的ですが、事業継続性を無視すれば簡単に下げることも可能ですし、松井証券は無料ですから今回はスルーします。

ロボアドはどこまで管理したいのかわからない

ロボアドバイザーは人間のファイナンシャル・アドバイザーに取って代わるものを目指して生まれました。(米国ではFAを通して資産運用を行うことが一般的だそうです)

それまでは(場合によっては高いコストを支払って)人間と相談してどのような計画を立てるか、どのような資産配分にするか、あるいは保険や投資の内容についてアドバイスを受けるものを、コンピュータにやらせれば費用もかからず正確に大量に処理できると考えられたからです。

しかし実際に実現できたのは、あらゆる資産運用のうち、投資という小さな1ピースの内訳について提案するだけです。

しかしもしかすると、最低限の現金を除く資産全体をETFや投資信託で配分してしまった方が良いというコンセプトで開発されているかもしれません。

ロボアドのサービスはここについてはっきりと言及されていません。ロボアドは他に持っている資産の内容までは聞いてきません。

収入をどう配分するか(貯金・投資・保険・趣味など)が正しく判断できる人を前提に、投資のアドバイスをするのだとしたら、これは余計なお世話ですよね。そういう人はロボに相談しなくてもできるはずです。

見た所、みなさん投資信託や個別株式などと並行して、一部をロボアドにも配分しているようです。これはロボアドにとって想定された状態なのでしょうか?

ロボアドの知らない、知り得ない状況にたいして正しい提案ができるんでしょうか?

何に対して最適なのかわからない

年収や保有資産額などから推定する「リスク許容度」はそれなりに根拠のあるものになっているのではないかと思います。が、これはあくまでも財務的な損失の許容度ですから、精神的なもの(リスク選好度)はまた別です。

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リスク選好度を調べる質問の例(投信工房・SMART FOLIO)

で、それを調べるために運用成績のグラフを見せて「どれがいいですか?」なんてことを聞くわけですが、こんなもの見せられてもまともな答えを選べるわけがありません。グラフを見てリスクの度合いが理解できるような人はこんなサービス使いませんよね。

また、投資家のリスク選好度は景気と連動しています。景気が良いと気が大きくなってリスク選好的になり、下落の可能性が高まると急速にしぼんでリスク回避的になります。

また、自分がどのようなタイプかまだ把握できていない人が多いはずです。逆に、わかっている人にとってはどの選択肢を選ぶとどうなるかが大体想像できてしまいます。

これで本当に最適なものを割り出してくれるんでしょうか?

ものによっては自分で変更することも可能です。もはや、ただ単に好みのポートフォリオを選ぶだけのサービスになってしまいます。

ロボは、人間の指示に従うだけ

まあ、仮にロボがはじき出したリスクレベルがAさんにマッチするものだったとしましょう。

先ほど、リスク選好度は景気と連動すると述べました。運用を開始した後、Aさんの心境に変化があった場合はどうなるでしょうか?

たとえば株式市場の急落があったとします。Aさんは不安になり、損失を回避するためにリスクレベルを手動で変更するかもしれません。あるいは、怖くなって運用額を減らす(解約・積み立ての停止)かもしれません。

また相場が良い時には調子に乗って多くの資金を投入するかもしれませんし、株式のパフォーマンスを羨ましく思って、リスクレベルを最大まで上げてしまうかもしれません。

変更の際に思いとどまるよう求めるメッセージは出るかもしれませんが、それでもロボは顧客の意向には逆らえません。決定ボタンを押せば、指示は実行されます。

このように投資家の感情によって変更が可能では、実質的にポートフォリオの提案は役に立たないものとなっていると思われます。

実際、アメリカのロボアドでも相場の急落時に大量の解約が発生したそうです。最適なリスクレベルとはなんだったのか・・・

機能だけを提供して、人間との対話をしないとこのようなことが起きてしまいます。投資家への教育は常に続けねばならないのです。

ファイナンシャル・アドバイザーの最も重要な仕事とは

実を言うとファイナンシャル・アドバイザーにとって投資のポートフォリオなんてものは、テンプレートをいくつか用意しておけばすぐできてしまいますから、重要な仕事ではありません。

カン・チュンドさんはこちらの記事で、ファイナンシャル・アドバイザーの役割について述べています。

「では、いったい何のためにあなたはいるのですか?」
「あなたに、余計なことをさせないようにするためです」

 これ以上ないほど明確ですね。バンガードもこの点については口を酸っぱくして繰り返し注意喚起しています。

投資・資産形成が成功するかどうかは最終的には感情との勝負なんですよね。AIはまだこの領域にまで踏み込めていません。

関連リンク

菟道りんたろうさんの記事です。リスク許容度とリスク選好度の違いについて腑に落ちる説明があります。